2009年05月10日

私の「気づき」

旦那がガンになってくれたおかげで、私は気づいたことがあります。

それは、「今まで自分は、旦那を愛してはいなかった。」
ということです。

「愛してるつもり」だったに過ぎなかったのです。


出会った頃、旦那は柔道をしていた関係上、体が大きくて
体重が90キロほどありました。

私は、そんな大きな体の旦那が好きでした。
デブ専?というわけでもないですが、体の大きい人が好きでした。

結婚後、旦那が好きな肉料理をどんどん作り、
脂っこいもの、甘いものもどんどん食べさせました。
「おいしい」と言う、旦那が愛おしくて。
そして、どんどん大きくなる旦那が愛おしくて。

もともと大きな体の旦那でしたが、結婚後は100キロ近くまで太りました。
座ると、出っぱったおなかで足もとが見えないのです。
おなかがつっかえて、前屈姿勢をするのがとても苦しそうでした。

でもそんな姿が可愛くて、私は、もっと太れ、もっと太れ!
とばかりに、旦那に食べさせ続けました。
思い通り、旦那はどんどん太っていきました。

私は、「それがまた可愛くて、イイのよねー」と喜んでいました。
おなかが出て、前にかがむのが苦しそうな旦那を、ほほえましくすら思っていました。


そして、旦那はガンになりました。
全身のリンパに腫瘍ができ、肺にも水がたまりました。
あげくの果てに、とうとう危篤状態になり、旦那を失うかもしれないという状況になりました。


そんな状況になって。

私はやっと気づきました。

私が旦那に対して注いでいたのは、本当の「愛」などと
呼べるものではなかったのだと。

ただ単に、旦那の大きな体、出っぱったおなか、
むちむちした肌、そういうものにセックスアピールを感じ、
「萌え~」していただけに、過ぎなかったのだと。

旦那の見た目、容姿に魅力を感じていただけ。
彼の人格、人間性を愛していたのではなく、自分の好みを優先してきたのだと。

薄っぺらい、うわべだけの愛。
愛なんて呼ぶのはおこがましい、嘘っぱちの愛。

本当に彼を愛し、旦那のことを心から思うのならば、
食事にも気を遣い、メタボリック症候群にならぬように
気をつけているはずであった。

彼が元気に過ごせるようにし、
彼が病気にならないようにしているはずであった。

「これを食べちゃダメ、あれもダメ、なんてしたらかわいそう。」
などという理由で、実は旦那を苦しめ、追いつめていたのです。

ペットを人間を同じにするのはおかしいけれど、
ペットを過保護にし、どんどんエサを与え、ペットが歩けなくなるまで
太らせている飼い主がいます。
それは虐待だと人は言う。

私がやってきたのは、それと同じ事ではないのか。




「お亡くなりになる可能性が高いです、ご家族をお呼び下さい」
と医者から言われたあの日。
頭が真っ白になりました。


1週間の危篤状態が続いたのち、必死の祈りが通じ、
旦那がこの世に戻ってきてくれた、あの時。

私は、心から神様に感謝し、この世のすべてに感謝しました。

気づきを与えて下さって、ありがとう。



今。

もう旦那は大きな体ではありません。
きちんと食事療法を続けた結果、スリムな体になりました。
なので、タイプ的に言うと「私の好きなタイプ」ではありません。

でも、毎日が幸せです。
一緒にいるだけで嬉しいと感じます。
名前を呼ぶと、笑みがこぼれます。
髪をなでると、幸せな気持ちになります。

新婚時代には感じなかったもの。

今ならやっと、私は「彼を愛しています」と言えます。
彼とは、魂と魂でつながっていたい。そう思います。

今後も、二人で協力しながら、旦那のガン治療に励んでいきます。


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Posted by プーゲンビレア at 11:25│Comments(2)在宅看護
この記事へのコメント
そうだったのか…
けど、
「今まで自分は、旦那を愛してはいなかった。」
これは違うと思う。

勝手なことを言うかもしれないけど、愛の質が変わったのでは?

平凡な夫婦なんて、ないしね。
何かあって、変わっていくんだと思う。
気持ちも、愛の形も。

だから、愛していなかったのではなくて、
前よりもっと愛しているんだと思う。
Posted by pkc at 2009年05月11日 22:58
pkcさん
コメントありがとうございます。

愛の質が変わった・・・そうですね。
頭の後ろのニホヒに「萌え~」するのは、昔と変わりませんが。
Posted by プーゲンビレアプーゲンビレア at 2009年05月12日 10:56
 
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