唄声よりも高い空

先日、ため込み癖について書いたついでに、私の実家で
あったことを書いてみようと思います。


私の実家は、それなりに片付いていて、整理整頓されています。

両親ともに、物に執着はしないですが、物を大事にはします。

収納しきれないほど大量に物をため込む、ということは
しませんが、押入れにはけっこう古い物も取ってあったりします。

「２０年前に、結婚式の引き出物でもらったお鍋」
とかが、ずーっとしまってあったりするわけです。

ちゃんと収納場所は確保されているから問題なさそうですが、
別の問題があるんです。


それは、デザイン・・・。

押入に長期保管してた、もらいものの食器やタオルなどを
私が結婚した時に持たせてくれたんですが、やっぱり
昔のセンスなんですよ。

特にひどいのは、バブルのころのブランド食器。
あの時代のブランド物って、やたら派手なデザインばっかり。

蝶が飛び散ってるババァくさいデザインだったり、
くどい花柄だったり。
金の縁どりしてるお皿も多いけど、電子レンジ使えないし・・・。

タオルの方は、長く置きすぎて茶色くなったり
カビてるものもあって、そんなのは処分しました。

正直、この食器とタオルの山には、辟易しました。

物を処分するのも、労力を使います。


母親にしてみれば、「あなたのために、大事にとっておいたのよ」
という気持ちだったんだと思いますが、正直、ダサくて
センスのない古いものを大量に「ドカーン！」ともらうより、
時代にあった素敵なものを少しだけもらうっていうほうが、
よっぽど嬉しかったです。

やっぱり、時代時代の、デザインってものがあります。

今は最新の電化製品でも、10年もたてば「旧式の電化製品」。
ン万円もした高級な服だって、10年後には時代遅れのダサい服。

洋服の生地にしても、年々、改良が進んで良い生地が出ています。

「高級な生地だったから」って20年前の洋服を丁寧に
取っておかれても、今の洋服の方がはるかにいい生地
だったりします。


「高級なものだったから」「ブランド品だから」
っていう理由で、ずーっと置いてても意味はないってことですね。


あと、これは、私が大学時代の話なんですが・・・。

何やら古い衣裳ケースが、押入の奥にあるのを発見。

母親に聞くと、私が小さい頃に着てた服を大事にとっている、
というのです。
いつか私に子供が出来たら、着せてあげたいから、と。
どんなものか見たくなって、母親と一緒にわくわくしながら開けたんですが・・・。


いや～、もうね、「時代」だったです・・・。



デザインもおかしいし、色も形も、今の時代のものじゃない。

「こんなん着せて、よその人が見たら引くわ！」
っていう、恥ずかしい洋服だったわけです。

一緒にケースを開けた母親も絶句・・・。



「当時、着せててすっごい可愛かった。」
という記憶があって、脳内で「めっちゃ可愛い洋服」って
変換されちゃってたんでしょうね。

目の前の洋服の、あまりの時代遅れ感に
母親自身もびっくりしたみたいです。


「昔、着せてて可愛かった」は、「これから着せても可愛い」
ではありません。

さすがにそれで目が覚めたのか、
母親も古い洋服なんか取っておかなくなりました。


今、もし自分に子供が出来て、あれを押しつけられてたら、
と思うと・・・めちゃくちゃ恐ろしいです。


旦那も私もそうなんですが、思い出っていうのは
写真や映像さえあればそれでいいって思ってるんです。

写真や映像を見れば、
「ああ、そういえばこの発表会、こんな服着て出たねー。
緊張して、歩くの失敗したよ～。」なんて思い出話が出てきます。

しかし、その当時の服が取ってあったからって、
「そうそうこの服、発表会で着たっけねー。
これ着てたとき、緊張したのよね～。」
なんて、服にまつわる思い出話なんか、出てきやしません。

服なんか置いとくより、写真や映像があった方が
よっぽど思い出話に花が咲くってもんです。


色んな意味で、古い物をため込むって意味がないって思います。

ちなみにわが家では、写真やビデオ映像も全部パソコンに
入ってるので、アルバムの類は一切ありません。

バックアップとして、CD-RやDVDにコピーしてありますが、
それらはブック型のケースに保管してるので場所をとりません。


物を大切にするのはいいことだと思います。

でも、置いてて意味のある物と、そうでない物があります。

実家で経験したこの２つの出来事を思い出すと、ため込む
ことのバカらしさを実感します。